映画関連が続いて恐縮ですが今回はアル・ゴアさんが作った「不都合な真実<An Inconvenient Truth>」の話。http://www.futsugou.jp/
古くからの友人が興奮気味に「マイクさんも見ましたか?マイクさんが10年以上前から言っていたことをやってましたよ」と電話を掛けてきたので慌てて翌日の回にテアトルサンクに見に行った。
冒頭で「一瞬だけアメリカ大統領だったアル・ゴアです」と軽快に会場を和ませる。スライド講演をベースにしたドキュメント映画なのだが、その作り方に驚かされてしまった。ドキュメンタリー映画というと地味なインタビューシーンが所々に織り交ぜた退屈なものという先入観があったが、この映画は全く違った。
ポスターは工場の排煙がモチーフになっているが映画自体は、暗い感じには作られていない。イラストやアニメーションを織り交ぜ、明るく仕上げている。最後にどうすれば良いかという提言で終わっているのもその一因だろう。(基本的にアメリカ人に向けて作られているので割り箸をやめてマイ箸を持ちましょうとは言っていなかった。)
出演者は基本的にアル・ゴアさんひとりのみ。100分間彼の語りだけで構成されていると言っても過言ではない。それでいて全く飽きさせない構成。ドキュメント映画とはいってもかなり手の込んだドラマ仕立ての作品だった。テロップの使い方も抜群で制作を生業にしている人は大いに刺激されるだろう。
彼の父親はかつて葉たばこ栽培を行っていたが、娘を激痛の伴う肺ガンで無くしてからはきっぱりやめたことなどもさりげなく語っている。回想シーンはモノクロ写真をゆっくり動かしながら構成されていた。目先の利益に捕らわれて人々を苦しめるものを作ってお金を得ることは正しい生き方ではないだろう。この辺が友人が私に電話してきた最大の理由だったのかも知れない。上映している映画館は古い単館を無理矢理シネマコンプレックス風に改造したもので、スナックスタンドやロビーに灰皿が置いてあるというお粗末さ。経営者は、健康増進法第25条(受動喫煙防止義務)よりも、まず一度、この映画を見た方が良さそうだ。
アル・ゴアさんが何度もアップル社製のパワーブックを操作するシーンが出てくるが、エンドロールには会社名は無かった。後で知ったのだが、彼自身がアップル社やグーグル社の役員らしい。
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