横濱商館の場所を聞かれると、福井市美術館と福井県立図書館から徒歩10分と説明することが多い。図書館は割と行く回数が多いが、美術館が隣の下馬中央公園に行くことがあっても中にはいることは稀だ。
2007年6月10日に中村征夫氏本人によるギャラリートークとサイン会があるというので出かけてきた。
単にギャラリーの中でトークショーがあるのかと思っていたが、主な写真を解説しながら観客を連れて歩くという珍しいイベントだった。展覧会の宣伝では、海の神秘とか美しさを詠っていたが、本人の話は、環境問題の深刻さについてのものが大部分だった。もちろん、死滅しかけている珊瑚の写真など直接的な写真も多く展示されていた。また、北海道で津波に巻き込まれて死にかけた話なども迫力があった。
写真集を買えばきれいな写真を手元で楽しむことはできるが、ザトウクジラの実物大の写真は美術館ならではの楽しみだった。
もう一点、興味深かったのは1995年の日本海三国沖ナホトカ号重油流失事故の際に、写真家ではなく海を愛するボランティアとして来ていたということだ。大学を出たばかりの息子さんが写真を撮りに行きたいというので怒鳴りつけ、まずは、重油を汲み出すボランティアとして駆けつけたという。その後、縁有って撮影の仕事で三国に来たという。
最後に質問コーナーがあったので、2点ほどお伺いした。
1,ハイビジョンビデオのように映像メディアが変化してきたがどのように感じているか?
2,息子さんも水中写真家になったようだが、カメラの手ほどきなどを小さいときからしていたのかどうか?
1に対しては、映像そのものは変わらない。2に関しては、まったく期待もしていなかったし手ほどきもしなかったというのが答えだった。
写真家一般に言えることだが、気さくによくしゃべる人だなーという印象を受けた。
7月13日には福井県広告業協会の展覧会「2007FuAAAクリエーティブ・オブ・ザ・イヤー作品展」があり、見学してきた。私の写真も一部の制作物に使われていたこともあるし、福井の現状を知りたいと思った。
一口に広告といっても、ポスター、新聞広告、雑誌広告、カタログ、パッケージデザイン、映像など多種多様でそれぞれにアイディアがあり、刺激を受けた。残念なのは入場無料にも関わらず、入場者数がそれほど多くなかったことだ。
広告というのは社会の潤滑油的なものでその日一日をちょっと特別なものにしてくれる。
しかし、別の見方をすれば、その日一日をちょっと特別なものにしてくれるのは広告だけでなく、音楽や美術、友達との会話、あるいは電子メールなど生活の中に溢れているようにも思う。それを感じ取れるかどうかはその人の感性ということになるのだろう。
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