2年ほど前、足羽三山文化協議会主催の講演会で知り合った斎藤成也(ないとう なるや)国立遺伝学研究所教授が新刊を出された。
福井市月見の時雨窯にいることを友人から聞きつけて押しかけてきた。
SBクリエイティブ発刊の「失敗の進化史・人類はできそこないである」は、税別900円で230ページほどの新書版。書籍は12月15日の発売。電子版もある。
学者先生の書いた堅苦しい学術書ではなく、最新の研究結果をベースにしながらも個人的な幼少期のエピソードや科学的妄想を織り交ぜた非常に読み易い本だった。
ほとんどの研究者が「人間が一番優れた生物」と勘違いしている点から話を進めている。ちょっと映画「猿の惑星」が頭をよぎった。進化と退化は、どちらも変化と捕らえる点など面白い。
一番、ビビットに感じたのは「中立進化」という考え方。索引を見ると8回も登場し、「四足歩行」の7回よりも多い。進化論のダーウィンが唱えた「自然淘汰説」とは違った視点から人類700万年の歴史を俯瞰する。遺伝子の変化が生存の条件と無関係であるとか、進化が偶然の産物という考え方が新鮮だった。ネアンデルタール人の絶滅がウィルスだったかも知れないなど、コロナ禍の現代に書かれた記述も見られる。
誰からにプレゼントすることを前提に2冊の購入をお願いしたところ、1冊は、「贈呈」のはんこを押して無償提供して頂いた。
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