サロン三角テーブル「死刑廃止を考える」

日 時:950617 1820~2030

場 所:FCTVスタジオ

参加メンバー:中道武美、上杉茂、佐藤辰弥、木村日出夫、野本真、中村紀久子、西野淳一、後半のみ 長谷川安洋、

遅刻 山口靖浩 

 



大阪から中道武美弁護士がゲスト

1995年5月27日藤岡死刑囚執行

93年3月 3年以上執行停止されていたものが、後藤田法務大臣が判を押す。

93年12月、94年12月、

95年5月にも死刑執行。

毎年恒例化を計っている。


藤岡さんの執行を止めるために、再審請求の準備を進めてきた。83年徳島地裁で判決、再審請求を2度取り下げる。

新聞報道で事件を知り、2件の殺人事件の内1件はえん罪の可能性があり、事件に関わりのあるAさん(女性)の存在を探していた。

藤岡さんは未熟児として生まれ、てんかん性の精神遅滞者である。

93年12月 国連の決議。精神障害者の死刑執行の禁止。

確定後、12年たった今、裁判を受ける権利を侵害されたまま死刑執行。10年以内に死刑判決が出た人の執行があり、次は藤岡さんではないかという危機感があり、抗議行動を繰り返してきた。

これまでの慣例として、死刑確定者が60名に達しない内に執行を行ってきているので、今年中に更なる執行が行われる可能性がある。

死刑は他の刑罰と違い、法務大臣の署名捺印の必要があり、政治的判断が入り込んでいる。

執行は、密行主義がとられており執行の日時、執行したかどうかさえ隠されており、法の適応条件を満たしているかどうか争う事ができない。

犯罪抑止効果については、今回のオウム騒動を見ても分かるとおり、刑罰があるから犯罪が防げるわけではなく、社会の経済的安定等が必要。

死刑囚に対して、多くの人々が抱くイメージとして、自分たちとは全く異質の人間と考え、排除しようとしている。

犯罪の弁護をするのは、犯罪そのものを弁護するものではなく、犯罪者の人権を弁護している。そのことを通じて、すべての人々の人権を底上げすることになる。


Q&A

藤岡さんの裁判の期間は、再審申し立てを取り下げた理由は?(佐藤)

 国選弁護人がつき、2年ほどで結審した。期間の多くは、精神鑑定に費やされた。Aさんの存在は捜査段階ではなく、公判中に明らかにされた。

取り下げた理由は、明確ではない。弁護士との親密な打ち合わせはなかったと考えられる。

えん罪の可能性がある死刑囚でも執行するのか?(西野)

 法務省はスケジュール通りに執行しているようではないが、必ず嫌疑が晴れるまで執行を待つわけではない。

執行する側の論理は?(西野)

 法があり、制度がある以上、執行していかなければ、法が形骸化し、問題の本質について議論が盛り上がってしまうのを恐れているのでは。

2度執行した前田勲男法務大臣の人柄は?(佐藤)

 積極的賛成論者でも、反対論者でもなく、官僚の後押しがあったのでは。


死刑問題に限らず、すべても情報を隠したがる事に問題がある。執行は、したともしないとも答えず、戸籍謄本の死亡、年次報告に死刑人数が記録されるのみ。

94年12月の世論調査では、存置派が7割を越えたとして執行された。調査の項目に問題あり。


街頭インタビューを見る

西野;インタビューした側として、あれこれコメントは避けたい。意外と存置派が多いと思った。

長谷川;みんなしっかり意見を言っていてすごいと思った。

マイク;街頭インタビュー、ビラ配りはテロに会ったようなもの。答えてくれたのは大変ありがたい。死刑は、噂の教団とやってることと同じ。

中村;街頭の人はきちんと答えていて、感心する。麻原被告のような人が出てくると考えが揺れてします。もし、遺族になっても死んでも何にもならない。

野本;加害者は敵という考えになりがちだが、敵なら味方にする手だてがないものだろうか。

木村;日本には体罰刑はあるのか?(ない)シンガポールの鞭打ちの刑は残酷とされた。学校の体罰反対と死刑反対とは似ている。体罰の有効性が日本では持っているのでは。

佐藤;弁護士になった直後、父親が交通事故で殺され、最初は殺してやりたいと思ったが徐々に変わってきた。インタビューで被害者感情を上げていたが本当に彼らの気持ちになって、具体的なケアをするのだろうか。

木村;死刑は残酷だというのと、抑止効果がないというのは矛盾するのでは?

西野;死刑反対は理屈だと言われるが、賛成派の意見の方が観念的ではないか。

野本;矛盾しない。

中道;死刑廃止を突き詰めれば、「人を殺せるかどうか」。

自分の事として考える想像力が欠如している。密行、秘密主義を止めて、各人の問題として考えて欲しい。


中村;(かごの鳥をときはなてフォーラム93の説明)3年4カ月執行停止されていたあと、7名もの執行に反対して、免田栄「獄中の生」上映会を実施(94年1月)。「死刑についての公演と上映会」、死刑廃止金沢全国合宿(94年9月)。ビラ撒き、月例会を実施。

中道:死刑が廃止されたら、存知論者の人権が守られる。排除するのではなく、一緒に暮らすことをイメージした社会作りに入っていける。

佐藤;死刑というのは、人を殺した人は特別な人間であり排除しようとする表れだと思う。なぜ、そのような事に至ったかを考え、そうならないで済んだ社会をなぜ作り得なかったかを考えたい。より文化的に、彼らを迎え入れる社会を作っていきたい。

上杉;人は生まれながらの犯罪者などいない。いつのまにか人を殺したり、殺されたりする。人を殺すことによって解決する問題は何もない。早く死刑のない社会を作りたい。