痛恨の1着失格
【レース経過】
号砲が鳴って、各車ともほんのしばらく相手の出方をうかがう牽制があったが、5番車の鈴木が誘導員を追った。
その後を2番車の布井、6番車の北村、3番車の渡辺らと続き、2周回目1センター付近で、前から鈴木
- 荒木 - 吉野 - 布井 - 鷲田 - 稲村 - 北村 - 渡辺 -
小島となった。
淡々とした周回を重ねた後、赤板通過と同時に後方待機の北村
- 渡辺 -
小島が上昇を開始。布井を少し牽制したあと、ジャンで先頭に立った。
前団にいた鈴木 - 荒木 -
吉野の中部勢はこれを迎え入れ、北村 - 渡辺 -
小島の4番手に切り換えてきた布井の横まで引いた。それと同時に布井
- 鷲田 -
稲村が発進、あと一周を残したホーム線では、布井が先頭に立った。
さらに鈴木 - 荒木 - 吉野は、先手を奪った布井 -
鷲田 -
稲村のあとを追い、その勢いで最終2コーナーから捲りを打ってきた。最終3コーナー、鈴木は、逃げる布井を捕らえ、2センターでは前に出た。
布井の後ろを回っていた9番車の鷲田は、鈴木後位の1番車荒木に飛び付き、最終2センター、2回、荒木を外に押し上げた。
その2回目に押し上げた時、1番車荒木の後位を回っていた8番車の吉野の前輪が荒木の後輪と接触、吉野は転倒した。
5番車鈴木の後位を奪い取った9番車鷲田は、ゴール直前でこれを捕らえ、1着でゴール、しかし審議の結果「失格」と判定された。
【レース感想】
布井とはS級時代に何度か連携し、記憶では少なくとも2回ワンツーフィニッシュを決めている。今年(2001年)5月に一宮競輪場で行われた第48回全プロ大会のスプリントでは、堂々3位の好成績を収めたスプリンターである。
布井はどちらかというと先行より捲りに威力を発揮し、果たしてこの強捲りに付いていけるか少し心配していたが、レース直前はリラックスした状態で発送台に向かった。
レースは、(近畿関東連合3車)、(中部3車)、(南関3車)の綺麗な三分線に分かれるようだったが、前期S級の布井→鷲田が1番人気を負っていた。
私は、本命人気の布井に対してレース前「何でもしてくれ」と言っただけだったが、地元の御大に気を遣ってくれ、あと一周を残す2センター付近から豪快にカマし先行をしてくれた。
出足が心配だったが、何とか切れずに付いていき、これで絶好の展開と確信していたら、最終バック5番車の鈴木が猛然と捲ってきた。
3コーナーに差し掛かっていれば、この鈴木の捲りを阻止できたと思うが、気が付いた時は、すでに私の横に迫って来て張れる状況ではなかった。布井は「少し流し気味だった」が、最終3コーナーで踏み直したものの、時すでに遅し鈴木に並ばれてしまった。
私は布井の先行を援護できなかったが、勝負は諦めていなかった。
鈴木後位の荒木に車を併せると、1発2発と立て続けに押し上げた。
その瞬間、「ガシャーン!」という鈍い落車音が聞こえた。
最終4コーナー、5番車の鈴木後位を奪った私は、落車音が気になりつつも習性から最後の追い込みを駆けた。
ゴールした瞬間、1着を確信したが、と同時に「失格(14条第1項)」も確信した。
誰かが落車した事は分かっているし、その原因が私の押し上げであることは、過去の経験からほぼ間違いないことは察した。
(あ〜あ、やっちまった…そんなにキツい押し上げではなかったと思うが、ついてないや…)と正直思った。
まさに痛恨の1着失格だった。
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