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大垣競輪場

取材:2000年6月

 「水の都」として有名な大垣市は、豊富な水資源に囲まれており、市の水道のほとんどをその地下水でまかなっているそうである。最近はミネラルウォーターを飲む選手が多いなか、大垣の水はそれ自体がミネラルウォーターだから大変おいしい。
 競輪場のフィールド内には全国でも数少ない大きな池があり、間歇的に噴水が吹き出す美しい競輪場である。
 大垣市の施行者は特別競輪等の誘致や「国際競輪」の開催にも毎年名乗りを挙げており競輪事業を積極的に推進する同施行者の姿勢は大いに賞賛したい。

 大垣競輪場の名物は、何と言っても池の中で十数羽のガチョウが飼われていることだ。何ともユーモラスな光景であるが、無機質な競輪場が多い中で、この領域だけは自然との調和が保たれており、見る者をおとぎ話の世界へといざなってくれる。また池の中には沢山の大きな鯉も悠々と泳いでいて、ガチョウと鯉の共存が保たれている。
 このガチョウ達、大変面倒見が良く、鯉に自分たちの餌を嘴(くちばし)を使って上手にやることでも有名だ。競輪関係者もこのガチョウと鯉の共存共栄を見習って、この今の難局を乗り越えて行って欲しいものである。
 ちなみにガチョウとアヒルの違いは、嘴(くちばし)の付け根に瘤(こぶ)があるかないかで判断するそうで、大垣のそれはアヒルではなくガチョウだそうである。
 「醜いアヒルの子」ではなく「賢いガチョウ達」なのである。念のため。

 池に架かる赤い橋も日本庭園風を醸し出して大変情緒があってよろしい。もう一つ無理を言えば桜の木があったら春の風情があって素晴らしいのではないか。
 競輪場はこうあるべきだ、という概念はこの際捨てて、各地競輪場毎の特色をふんだんに盛り入れてはいかがだろうか。殺伐とした競輪場から明るい雰囲気を作り出す工夫。ちょとしたことで競輪場に足を運んでくれるファンもいるかもしれない。鉄火場から娯楽施設としての安堵感を得られる競輪場が今は少な過ぎるのではないだろうか。イメージ一新。21世紀の競輪場はどうあるべきでしょうか?

 選手は出走が近づくと管理課マイクで集合を呼び掛けられる。集合する場所は、出走前回控え室という部屋で、前のレースの選手が発走台に向かうまでの間、そこで待機する。
 その後、この「出走直前控え室」で出番を待つわけだ。ここでは選手は無口になる。あれこれぺちゃくちゃしゃべらない。ただ選手紹介(顔見せ)が終わってここに戻ってくると「ひでーヤジでしたね」とか「○○さん凄い声援ですね」とか話すことはある。特に女性からの声援には冷やかしが入り、一瞬、緊張の糸が解ける。
 発走5分前ともなると、他の選手も声を掛けられないくらい緊張した異様な空気が漂う。修羅場へ向かう最後の精神の集中がここで行われるのだ。

 選手が身に付けている車番のユニフォームは選手管理課窓口で3レース前ぐらいに受け取る。ヘルメットキャップと共にもらい、それぞれM, L, LLサイズとあり、レースが終了したら返す。
 ところで競輪グランプリに出場した選手の特別ユニフォームはすでに20着分ほど各選手に渡しているそうで、車番も各自で交換するそうだ。余談になるが、あのグランプリユニフォームは有名な某デザイナーがデザインしたそうであるが、私が思うにセンスの悪さ(ゴメンみんなそう言っている)は天下一品である。ツール・ド・フランスなどにみるヨーロッパロードレース界のセンスがまるでない。関係者はご検討を願いたい。

 梅雨時期で雨が多かった大垣競輪。選手紹介用のカッパもフル活動だった。昔は上着のカッパだけだったが、ここ数年、パンツ(不格好であるが)も履き、シューズカバーも付け完全防水で紹介するようになった。雨で一番困るのは、前走者の後輪から跳ね上がる飛沫(しぶき)である。まともに後ろに突いていると飛沫が目に入って前が見えなくなる。
 最近ではサングラスや雨天グラスを掛けて走る選手も増えたが、私はどうも競りなどで邪魔になるからそういう類のものを身に付けるのを避けている。あと雨で困るのがシューズが濡れて乾かないことだったが、これもシューズカバーというすぐれものが使用できるようになったから大分助かっている。
 ちなみに私は雨は嫌だが成績は良い方である。気象条件が悪いほど結果が良い。環境に左右されないからだろうか。

 ウォーミングアップやレース後のクールダウンはこのローラー練習場で行われる。選手によって異なるが自分が出走する約2時間前ぐらいから、ウォーミングアップを開始する。内容はストレッチ、ランニング、そしてこのローラー練習等である。 
 定かではないが、15 年ほど前からウォーミングアップやレース後のクールダウンが行われるようになってきた。これは世界選手権等の国際試合に日本人選手も数多く参加し、そこで外国人選手のやっていることをマネて帰国、その後、競輪参加でも行うようになってきたからだ。滝沢、井上等の選手が特にレース後のクールダウンをするようになったから、強い選手のマネをして現在では普通に行っている。
 昔はクールダウンはおろかウォーミングアップもやらず、出走呼び出し直前までタバコをぷかぷか吸って出走していった選手をよく見かけた。今はそんな選手はひとりもいないが、レース後、心臓発作で死亡した選手にも出喰わしたこともあり、いかに競輪という過酷な競技において、ウォーミングアップとクールダウンが重要であるかを、近年の選手は理解しているのだ。

 競輪選手は自分のレース時間に合わせて昼食を摂る。
 大体、5レースまでの選手は昼食を摂らずに出走する。だから朝は多めに摂る。
 6レース以降の選手は午前10時30分から11時までの間に昼食を摂ることが多い。
 大垣の最終日は、かやくご飯ときしめん、それに果物(スイカ、パイナップル、リンゴ)等だった。
 大垣の食堂はバイキング式で味も上々、おいしい物を食べさせてくれる。特に名物の赤出汁は「最高」です。

 やはりおいしく食べられる時は調子も良いものである。

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