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冬は「カニ」に限る

2000年11月取材

 「福井県」といえば、東尋坊、永平寺を思い浮かべる方も多いだろう。有名人では、演歌歌手の五木ひろし、スポーツ選手では鷲田善一などがいる。
 そして、食べ物では「越前そば」「らっきょう」などがあるが、何と言っても冬の味覚の一番手は「越前カニ」において他にはないだろう。
 あらゆる食材の中でも「カニ」は最高級品の部類に入り、庶民にとってはまさに「高嶺の花」だ。
 さて、この「越前カニ」を美味しく料理して食べさせてくれる民宿をご紹介しよう。福井県越前町にある民宿御宿「小鉄」さんだ。
 私とここのご主人と女将さんのつき合いは長く、もうかれこれ15年以上になるだろうか。ある日、街道練習の途中でパンクした所がこの「小鉄」さんの店の前で、工具を借りた上に、愛想の良い美人女将さんと海の若大将といった威勢の良いご主人がコーヒーをご馳走してくれたことから、この「小鉄」とのつき合いが始まったのだった。

 いわゆるズワイカニは地方によって呼び名が異なり、山陰沖では「松葉カニ」と呼ばれている。
 北海道産やアラスカ産もあり、素人が一見しただけでは判断が付きにくいが、「越前カニ」であるかどうかは、越前産ブランドを示す「黄色いワッカ」が、カニの脚にはめられているのでそれで確認するしかない。その黄色いハンカチならぬ「黄色いワッカ」がはまってないズワイカニ(写真右参照)は、「越前カニ」ではないので念のため。
 でも、名誉の為に言っておくが、他のズワイだからと言っても味はさほど変わらない。ただ、「越前ズワイカニ」にこだわる美食家はこのカニの左親指の「黄色いワッカ」を目印に買って下さい。

 ズワイの値段は、形、大きさによって様々であるが、大体5000円〜20,000円、上物は30,000円もするものがあるそうだが、小生、生まれてこの方、そんな上物など観たことも口にしたこともない。
 地元福井の人でさえ「越前カニ」=ズワイカニは、滅多に口に入るシロモノではない。
 スーパーマーケットなどで売っているのは、雌の「セイコカニ」が多く、これだと一尾800〜2000円ぐらいだから、何とか手が届く。雌のセイコ(松田聖子ではない)は雄のズワイに比べてかなり小さいが、みそと子が美味しい。

 カニの解禁が発表されるのは、毎年11月中だが、昨年も私が世話になった人を招待して、家族で「小鉄」さんに出掛けた。
 12年ほど前、現在のこの場所に店を移したが、とても民宿とは思えないシャレた店構えだ。この日も到着するやいなや早速、一風呂浴び、浴衣姿もそぞろに食卓に向かう。
 テーブルの上には所狭しと並んだカニ料理が、ようこそとばかり、待ちかまえていて、そのあでやかな色彩に思わずびっくり「ウォーッ」と感嘆の声をあげさせられる。
 日本酒を味わいながらカニ料理に舌鼓を打ち、しばし至福の時を過ごす。「あーあ、生きてて良かった」と、思わず涙笑いが込み上げてくる。

 冬の越前、日本海に沈む夕日を観ながら「越前カニ」を食する。私にとってこれ以上の贅沢は他に見当たらないが、読者諸兄も福井にお立ち寄りの節は、越前御宿「小鉄」さんに是非足を運んでみてはいかがですか。
 さて、気になる料金だが、これがまた信じられない格安料金。5人以上なら舟盛りもサービスとか。鷲田善一特選の民宿御宿「小鉄」さんだ。一度はカニを食べに福井に来ねの。(福井弁)


越前海岸国定公園 国道305号線沿い
(福井競輪場から日本海へ出た海岸沿い。車で約60分)

 越前御宿 小鉄

 福井県丹生郡越前町牛房ケ平19鎌岩34
 TEL0778-39-1334/FAX0778-39-1335

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