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C級コーチにチャレンジ

取材日:2001.12.12-16

 

 私は、かねてより「公認C級コーチ」の資格を取得するため機会を窺っていたが、今年(2001年)ようやく日程の調整がつき、この養成講習会を受講することができた。

 私は9月3〜7日、和歌山県の「南紀スポーツセンター」で前期講習会を受講し、そして12月12〜16日の期間、東京の「国立オリンピック記念青少年総合センター」(写真左)で後期講習会に臨んだ。

 今年9月〜12月の期間、「Zen1 World 鷲田善一の世界」の更新があまり出来なかったというのは、実はこの「公認C級コーチ」資格取得のために毎日猛勉強?をしていたからだった。


 ここで「文部科学大臣認定事業による競技別指導者資格の概要」についてちょっと触れるが、いわゆる一般にいわれる「コーチ(指導者)」というのにもいろいろあって、地域スポーツ指導者、商業スポーツ施設における指導者、競技力向上指導者、さらにスポーツプログラマー、少年スポーツ指導者、アスレチックトレーナー、フィットネストレーナーなど目的によって様々な指導者がいる。

 また、それらには階級があって、C級(初級)、B級(中級)、A級(上級・ナショナルコーチの資格を有する)または、1種、2種、2級、1級など、指導者資格の種別によってランク付けがされている。 

 今回、わたしがチャレンジしたのは、競技力向上指導者として「公認C級コーチ」であった。

 教科は、「スポーツ社会学」「スポーツ心理学」「トレーニング科学(生理学)」「トレーニング科学(バイオメカニクス)」「スポーツ医学(内科)」「スポーツ医学(外科)」「スポーツと栄養」「スポーツ指導論」それに「地域におけるスポーツ行政」の科目で、前期・後期で890ページにも及ぶ分厚い教本である。

 プロとはいっても所詮、「経験だけで指導をしているに過ぎない」私にとって、ここは一つ「理論」をしっかり勉強して資格取得にチャレンジ!と相成った訳だった。

 それで私は、本来なら前期同様後期も和歌山で受講するハズだったが、和歌山の後期は競輪出場のあっせん調整が付かず、東京会場の「国立オリンピック記念青少年総合センター」で受講することになった。

 この「国立青少年センター(名称略)」の沿革については、

http://www.nyc.go.jp/

をご参照願うとして、現在の建物は1990年(平成3年)7月、整備基本構想に基づき施設整備の着工が始まり、各施設への受け入れが始まったとのことだ。

 施設の充実には目を見張るものがあり、この「公認C級コーチ」の会場となった501号研修室を始めとして300人〜20人までの研修室が50ヶ所。
 国際交流棟においては、同時通訳ブース室を備えた国際会議室や500人収容のレセプションホールがあり、またテニスコートやプールを備えたスポーツ棟、さらにコンサートや演奏会が楽しめるカルチャー棟などなど、その規模の大きさには驚かされる。

 外国人の研修生も見えるなど、ここを利用する団体は多種多様。まさに青少年団体から一般団体まで国際色豊かな総合センターである。

 昼食時間ともなると、何百人もの研修生が食堂に集まりそれぞれ会話が弾んでいた。

 「国立オリンピック記念青少年総合センター」は、JR渋谷駅南口からバスで約20分の所にあり、施設からは新宿の高層ビル街が望める。(右図参照)

 さて、本題の「公認C級コーチ」養成講習会だが、今回、この会場には180人が参加した。和歌山会場には約80人だったが、さすが東京会場には大勢の受講者が訪れた。

 2001年(平成13年度)は、全国で約900人がこの「公認C級コーチ」を受講したそうだ。


 1日の日課時限表をザッとご紹介すると、午前は8時30分から12時30分まで、午後は1時30分から5時30分まで、さらに夜は7時から9時まで1日10時間の授業があり、前期後期合わせると75時間に及ぶ講習があり、前期から後期までの期間には「レポート提出」、そして、後期の最終日には7教科12ページに及ぶ「記述試験」があるなど、類い希な超ハード講習会であった。

 さらに「C級コーチ」資格取得までには、この共通科目以外にそれぞれ競技種目ごとに専門科目の講習があって、つまり自転車競技の場合は、日本自転車競技連盟の講習会(前期3泊4日、後期3泊4日)を受講しなければならず、これらがすべて合格して、晴れて「公認C級コーチ」の資格が取得される、という訳でその難しさがお分かり頂けるだろうか。

 我が競輪選手からも過去に「公認C級コーチ」にチャレンジして見事合格した選手が何人もいるが、今回この会場にも自転車競技関係から10名が受講した。その内、競輪選手は私を含めて6名が受講し、気合いを入れ真剣に取り組んでいた。

 受講科目には、冒頭にも述べたように、「社会学」から「医学(外科・内科)」、「心理学」、「栄養」、「指導論」、「トレーニング科学」「地域スポーツ行政」まで、幅広い知識が必要である。

 野球、サッカー、陸上、ラグビー、カヌー、バレーボール、バスケットボール、テニス、ゴルフ、ウエイトリフティング、スキー、空手道、バドミントン、水泳、体操、ライフル射撃、ソフトボール、スケート、などなど、あらゆるスポーツ種目の指導者が、この「公認C級コーチ」養成講習会に臨んできており、その競技では、おそらく有名な指導者と思われる方々が大勢チャレンジしてきた。

 そこには、やはり「経験」だけではなく「理論」をしっかり把握したうえで指導にあたらなければならない、という概念があり、今後さらにこの資格取得にチャレンジしてくる指導者が増えてくるものと思われる。

 文部科学省は、2000年度(平成12年度)から「生涯スポーツ社会の実現に向けた地域におけるスポーツ環境の整備充実」を打ち出し、このための基盤的施策としてスポーツ指導者の育成・確保、スポーツ施設の充実、住民のニーズに応じた的確なスポーツ情報の提供を図り、数々のスポーツ振興基本計画を発表して21世紀に向けた我が国の豊かなスポーツ環境を目指しており、その担い手として今後とも「公認C級コーチ」はさらに需要度が増していくものと思われる。

 競輪選手からもこうした公認の資格を取得する選手が数多く増え、自転車競技の底辺を拡大していく共に、世界に羽ばたく選手の育成に貢献することを期待してやまない 。

 


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