危機管理意識と防災準備(1)

横濱たより183号
 
2005.3.10 発行
 2004年は「災」の年だっただけに、あちこちで防災が話題に上ることが多くなった。いろいろな人と話をしているうちに噛み合わないと思うことが少なくないがその原因は、各々の個人が注目している軸がずれているからではないかと気がつき、4つの軸に分類して考えるようになった。

1. 危険回避の軸 災害発生時の被害をいかに最小限に食い止めるか

 地震による第一の危険は家具の転倒や食器棚・窓ガラスの破片などが考えられる。大型の家具の配置を換えたり、ベルトで固定するなどの対策を取って欲しい。
 大型テレビを低い位置に移動するなど費用も掛からない対策からはじめてはどうだろうか。
 ブロック塀が倒れてくる場合もあるので、控え壁を付けたりひび割れが無いかなどもチェックしておいて欲しい。

2. 生活備蓄の軸 それまでの生活を維持できるように水や食糧などを準備しておく

  Y2K問題が大きくクローズアップされた1999年末には、水・食糧・燃料を1ヶ月分ほど備蓄したものだ。雨水を溜めるタンクも自作した。
 地域での備蓄倉庫や非常持ち出し袋とは考え方が少し違い、日常生活で使用するものの「適正在庫量」をそれぞれが算出し、少し多めのペットボトル、缶詰、カセットコンロを用意しておくことで数日間を乗り切れるだろう。 地方都市に住んでいる人は自家用車が有ると思うが、ガソリンも出来るだけ満タンにしておけば、慌ててガソリンスタンドに並ぶこともないし、ラジオなどの情報収集兼緊急避難所としても機能するが移動手段ではない。

3. 財産保険の軸 経済的/知的所有物の損害を食い止め復興に向かう

  災害復旧が終わり、復興していくときに役に立つ。人によってはこの軸に最も強い関心を示す。
 地震による火災には火災保険ではなく、地震保険が必要だが保険料が高いのが難点。私の場合、商売道具のコンピュータ等に動産総合保険を掛けており、業務が再開できる準備もしている。 また、最近では自作のデジタルデータのバックアップ(複数メディアでのコピー保存)も視野に入れるべきだろう。

4. 災害救助の軸 ボランティア活動も含め助け合いの精神

 災害には、 自助(個人や家庭)・共助(地域や職場)・公助(公的機関)が大切と言われるが、共助の部分に相当するのがこの軸だ。災害が大きければ大きいほど、公助が届くのには時間が掛かることを念頭に置くべきだ。火災消火(消火栓の確認)、救急救命法、地域での炊き出し、支援物資の確保分配、情報収集など多岐に渡る。
 情報収集の重要性は言うまでもないが、最も効率的な収集法は自らが情報を発信することだと体験的に感じている。福井豪雨災害でも情報を出さなかった地域には救援もほとんどは入らなかった。
 避難所やボランティアセンター運営が出来るように平常時からセミナーやワークショップに参加したり、地域自主防災組織作りに積極的に参加するのも良いと思う。

「備えあれば憂いなし」と昔から言われているが、多くは「備え無し人、憂いなし」という感じで、全く準備を怠っている。日頃から危機管理意識を高め、不測に事態をイメージして出来ることから始めてどうだろうか。「天災は忘れた頃にやってくる」と言うが福井大震災(1948年(昭和23年)6月28日)から60年近く経っている。

 

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