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2000年全プロに参加
但し、今回は競技役員

開会式

 「全日本プロ選手権自転車競技大会」が、5月14、15日の両日、新潟県弥彦競輪場で開催された。
 第47回を迎えた今大会、2000年9月に開催されるシドニーオリンピックの代表選手の選考も兼ねた重要な大会ということもあり、天候にも恵まれマスコミ関係者など多くのファンで賑わった。
 全プロ大会は競輪選手が自転車競技の各種目において健脚を披露するいわば「競輪選手の祭典」。日本独特の「競輪」以外の種目おいて優秀な成績を収めた選手を世界の檜舞台に出場させるために行う国内選考会をも兼ねている。
 私はこの大会に全国から集まった支部長各位と共に競技役員として参加した。競輪選手の大会であるから競技運営面もすべて本部役職員と各支部長そして地元の現役の競輪選手が手伝い、そしてそれは日ごろ選手が経験しない審判、番組、召集、医務、広報等多岐にわたり、それぞれ各部署に分かれて受け持ち、競技が開始される。
 私が委嘱されたのは、第一走路審判員だった。赤旗と白旗を持ち、審判塔に上がるのも違った気分を味わえ、たまにはいいが、競技によっては内圏線の内側にプーレというスポンジで出来た細長い置物(近回り防止の為の障害物)を置くなど、意外と忙しい役割だった。内心「やはり走っているのが一番いい」と思った。

 この大会で注目された種目は、初日の「1000mタイムトライアル」と二日目決勝の「スプリント」とシドニーオリンピックから正式種目となった「ケイリン」ではなかっただろうか。
 日本は4種目「スプリント」「ケイリン」「オリンピックスプリント」そして「1000mタイムトライアル」の出場枠を獲得しており、取り分け1000m決勝は、4年前のアトランタオリンピックで十文字選手が銅メダルを獲得している種目とあって、いやが上にも盛り上がった。
 私は、受け持ちの第1コーナー付近のプーレを慎重に置くと、早速、このページ用の画像を入手するためビデオカメラの撮影に取りかかった。
 毎度のことであるが、合間を見ての撮影はホント苦労する。この器用さとマメさは他の人には絶対マネが出来ない芸当(安い、早い、仕事キッチリ)だと思うが、そんなことはどうでもいい、で、注目の選手の撮影を行ったのであった。
 第3走者福井からこの全プロにただ一人参加した渡辺航平選手、同業者紹介でも紹介した小嶋敬二選手がスタートしていくなか、途中最高タイムは、佐賀の荒井崇博(佐々木昭彦選手の弟子)選手の1分05秒502、そして16番目に期待の十文字貴信(茨城75)選手がいよいよスタートした。
 場内からはスタートと同時に悲鳴にも似た歓声が巻き起こり、十文字選手は今まで走り終えた選手とは比べものにならないくらいの素晴らしいスタートを決めた。が600mを過ぎた辺りからペースダウン、ゴールと同時にフィールド内の電光掲示板が1分06秒941という平凡な数字を映し出すと場内からは残念というタメ息が漏れた。

朝の練習風景

 


期待の十文字貴信選手

優勝した伏見俊昭選手(福島)



稲村成浩選手の完璧なフォーム

 「十文字選手はもうダメなのか?」と、誰もが思ったハズ。いや、絶対そんなことはない。銅メダルというプレッシャーがあったからではないだろうか。だが結果がすべてのスポーツ。本来なら報道陣に取り囲まれてもおかしくない「アトランタの星」は、競技終了後、ひとり検車場でもくもくと自転車整備をしていた。そしてその後ろ姿からは「このままでは絶対終わらないぞ」という表情がうかがえ、そしてそれは私にとって今大会一番印象的に残った場面でもあったのだった。
 そんななか17番目に伏見選手がスタートした。ナショナルチーム強化選手だけあって、その走りに無駄はない。 ゴールした瞬間、電光掲示板の順位の一番上の欄に1分05秒235の記録が映し出されると、場内からは一斉にドッと歓声が巻き起こった。やはり強い。ガッツポーズで満場のファンの声援に応える伏見選手は男らしくカッコよかった。
 最後にスタートしたのは、稲村成浩選手だった。稲村選手のフォームは完璧である。正に自転車に乗るために生まれてきたのではないか、と思うような素晴らしい走りであった。もし出来ることなら、自分と入れ替わって走ってみたい、そんな思いであった。稲村選手は1分06秒014で3位。結局、伏見選手が稲村選手の追撃を振り切り、今大会初優勝を飾った。
 いろいろあった今年の全プロ大会。書きたいことは山ほどあるが、来年は、是非もう一度、選手として走りたいと思った。
 帰郷の北陸道(新潟-富山-石川-福井 約400km)の車中、私は来年への思いを馳せていた‥‥。

 


全プロの結果にリンク

全プロに参加2-近畿チーム編


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