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ほそうでふんせんき
人間社会の動向を見極めるため、そして平和を訴えるため一匹の子犬が旅立ったのは、2001年3月6日(子犬時代参照)のことだった。 寒い冬の終わりを告げる3月から約5ヶ月が過ぎ、そして真夏の太陽がギラ付く7月の末、ついにあのナラが逞しい姿で帰ってきた。 2001.7.28 無断転載禁 |
「ピンポーン」という玄関のベルの音に、「一体誰だろう?」と出てみると、何とあの5ヶ月前に旅に出たナラが、サングラスを掛けて立っているではないか。 な、な、ナラちゃん!アンタ無事だったの?と、この家のおかみさんが叫んだ。するとその大きな声にびっくりして一斉に家族の者達が次々に出てきて「あっ、ナラだ!」と叫んだ。 「ナラ!、何だよ、そのサングラス?」と、この家の長男が言った。 サングラスを外したナラは、まさしくあの時幼かったナラに間違いなかった。出迎えた家族全員、感激の涙で再会を喜んでいた。 すると、奥からグレムリンが何事かと玄関の所までやってきた。「え?ホントにナラかい?」グレムリンはすっかり成長したナラに会って、少し戸惑いをみせながらも「早く足を洗って中に入れや」と恥ずかしそうに言った。 ナラは福井を振り出しに日本全国を回ってきたらしい。時々、「カーン、カーン」と鐘の音がすると会場内がどよめく円形の施設にも顔を出してきたらしい。全国に50箇所ほど有ったらしい。 |
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足を洗って部屋の中に入れて貰ったナラは、旅に出たときの荷物より三まわりほど大きな所帯道具を担いだまま、何か不安そうにこちらを向いていた。 最初、照れていたナラだったが、ようやく落ち着きを取り戻して、グレムリンに耳打ち話をしていた。 「グレムリンさんも元気だった?私も色々あったけれど、旅に出て良かったわ。また、この家でお世話になりたいと思っているの。グレムリンさんからもみんなに頼んでもらえないかしら」とナラが言うと、グレムリンは、「うん、うん、そうか、そうか」と聞いていたが、「まっ、楽にして話そうや」とナラに言った。 To be cotinued. |
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