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本場徳島の阿波踊りを満喫!

取材日:2001.8.13

 今やリオのカーニバルと並び情熱的なまでに人々を魅了する「阿波おどり」が、今年(2001年)も8月12〜15日の期間行われている。

 この期間、真夏の徳島は「阿波おどり」一色に染まり、県内外はもとより海外からの観光客や踊り子達で熱狂する。

 今年(2001)は前夜祭が8月11日()に行われた後、初日12日の日曜日からいよいよ本番を迎えたが、地元紙の報道によると初日38万人の人出で賑わったという。

 まさにこの期間、阿波徳島の夜は、連日興奮さめやらぬ状況に陥り、踊る阿呆と見る阿呆達でごったがえすのだ。

 奇しくも不肖わたくし鷲田善一は、8月11〜13日の小松島競輪の斡旋を受け、不甲斐ない成績を掻き消せとばかり、同競輪に一緒に参加した親交ある滋賀の鉄人・井狩吉雄選手と阿呆の仲間入りをさせて頂くことと相成った。

 徳島市および徳島市観光協会発行の見物ガイドブックによると、阿波おどりは市の中心部一帯を舞台として夕刻の午後6時にはじまり、午後10時30分まで踊り続けられる。

 メイン会場は、市の中心部の公園や街路に設けられた演舞場(8ヶ所)、おどり広場(5ヶ所)、おどりロード(2ヶ所)、まちかど広場(6ヶ所)など、至る所で阿波おどりが堪能できる。

 踊り連が入場する演舞場(8ヶ所)のうち、有料が5ヶ所、無料は3ヶ所あるが、私と井狩さんは、有料券はすでに完売ということで、演舞場の長さ200Eという8ヶ所中最も長い両国本町演舞場に陣取ることにした。

 午後6時から行われるということで、二人は夕刻5時15分頃そこに到着したが、すでに街路に設置された3段の長い見物席は、ネコ(←なぜかネコ)も座れないほどにギッシリと見物客で埋め尽くされ、二人はそれでも隙間を縫って何とか最前列に腰を据え、いまだ開演遅しと待ち構えていた。

 ところで踊りのグループを「連」というそうだが、先ほどのガイドブックによると、連は同好の士や企業大学団体等を単位に結成され、踊り子と鳴り物(三味線・鉦{かね}・太鼓・横笛等)で構成されている。

 連の規模は30〜500人と様々で、技量練達した同好連は「有名連」と呼ばれている。

 有名連には阿波おどり振興協会所属の16連があり、「阿呆連」[連長/山田 隆]連員数130人など、以下、「阿波鳴連」「阿波連」「浮助連」「うずき連」「えびす連」「扇連」「ささ連」「新ばし連」「天水連」「天保連」「のんき連」「葉月連」「水玉連」「無双連」「若獅子連」(50音順)がある。

 また、徳島県阿波踊り協会所属の17連には「葵連」「阿波扇」「うきよ連」「菊水連」他、さらに阿波おどり保存協会所属の9連には「編笠連」「阿波藍連」「歌舞伎連」などがあり、これら有名連はそれぞれに特色を持った踊りを披露してくれる。

 さて、いよいよ両国演舞場に開演を知らせるアナウンスが流れると、両国橋の反対方向から鳴り物が響き渡ってきた。胸はときめき、心わくわく、人々は一斉に首を伸ばして入場してくる「連」に注目した。

 井狩さんが地元の競輪選手から聞いた話によると、大体一夜に各演舞場では45〜60連が踊り込むそうで、その内、各演舞場で有名連が見られるのは3〜4連ぐらいだそうである。

 そこのところの踊りの順序は、どうなっているのかは知らないが、兎に角、威勢の良い太鼓と鉦、風情豊かな三味線と横笛の音に乗って、子供踊り子を先頭に、かけ声も勇ましく、そして、何よりも菅笠と着物姿の艶(あで)やかな女踊り子達が近づいて来た時には、もう我を忘れてやんややんやの大喝采。

 あ〜、ホント来て良かった〜!と感動してしまった。

 その一番最初に入場してきたのが、あの有名連の「扇連」だった。最初から有名連が見れるとは…。ラッキー!(*^o^*) 

 この扇連の特色である女踊り子の扇裁きは「お見事!」と言うしかなく、まさに一糸乱れぬ踊り子の卓越した技量は、日頃の練習の賜物だと思った。

 さっそくシャッターチャンスならぬビデオ画像収録のため愛用のビデオカメラをズームアップして、綺麗どころに照準を合わせる辺りは、小生、手ぬかりはなかった。

 連ごとの衣装もなかなかのものだった。取り分け、女踊り子達の着物姿には、先程来見とれてしまっている。ピンクを基調に、藍、紺、赤など、まるでフラミンゴが群で踊っているようで、そのまんま私も付いて行きたくなってしまうような、そんな雰囲気のなか、今度は、「奴連」がやってきた。

 2番目に入場してきたこの「奴連」は有名連ではなかったが、女踊り衆の技量は素晴らしく、本日、私が見た限りでは、技量、調和共に最も優れていた。

 これだけの技量を身に付けるには、それ相当の練習量が必要だと、つい競技者としての立場から推測してしまうのだが、こういう素晴らしい連の踊りを「タダ」で見物できるとは思ってもみなかった。

 「ハァ、やっこさー、やっこさー」「やっこさー、やっこさー」

 鳴り物とお囃子に乗って踊り子達が声を発っする。

 そして、見物客の拍手と歓声とが一体となって醸し出す雰囲気は、まさに圧巻!これぞ阿波おどりの神髄と、またまた感動してしまったのだった。

 最初、井狩さんから「折角、小松島まで来たことだし、帰りは阿波踊りを見に行かへん?」と誘われた時は、正直いってあまり気がすすまなかった。

 小生、年を重ねるごとにあまり人混みの中に行くことを好まなくなってきたこともあり、「え?、えぇ…」と曖昧な返事をしていたのだが、いざ踊りが始まって佳境に達していくなかで、帰郷時間を気にする井狩さんが「何時頃までいる?」と、ついには私の方が「まだ大丈夫でしょう」と見物時間を引き延ばす始末となってしまった。

 自分でも、なんと傲慢な、なんと心境の変化の著しい、なんと身勝手な男かと、その時思ったが、それほど「阿波おどり」というものは、人々を熱中の坩堝(るつぼ)におとしいれるものだということが分かった。(^^;

 そして、また次から次へと連が入場してくる。「四国電力連」、「徳島銀行連」、「あわぎん連」、「阿波銀リース連」と企業連が続き、「四国大学連」、「中京大学連」などの大学連や病院関係連も入場。

 特に大学生連は、元気が良かった。

 「仕掛けた踊りは止められなーい、やっぱり踊りは止められなーい、ハァやったやったー」

 色々な連が通過して行くなかで、「にわか連」つまり観光客が普段着のまま、思い思いの踊りで「にわか踊り」をする連もあるなど、これがまたこの「阿波おどり」を庶民レベルで盛り上げられるところが実に素晴らしいところである。

 若い衆が、お囃子言葉を連発し、

 「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん…」

とくると、ホントに踊らないとソンしたような気分なってくるから不思議である。

 今、自民党の小泉首相が構造改革とかで大変だが、日本女性が着物と下駄を履いて生活するよう法案をつくり可決して欲しいものだ。そうすれば、日本人は本来の精神を取り戻して良い国になると思うのだが、勿論、男は、フンドシを絞めることになるが…。

 え?時代錯誤も甚だしいって? ま、そうお堅く考えないで。兎に角、日本女性は、着物が一番似合うという事を言っているのだ。

 日本人が忘れかけている日本人らしさを取り戻したかったら、一度、阿波おどりを見に行ってみたらいかがだろうか。

 さらに、「歌舞伎連」、「あわなる連」、「うず潮連」、「酔狂連」、「やっこ連」、「つかさ連」、「八千代連」、「浮世連」、「龍虎連」と、まだまだ延々と続く。

 そんな連を見ていく中で、私が特に注目したのが女おどりだった。
 勇ましい男おどりも良かったが、「華やかさ」と「優雅さ」「艶やかさ」などなど、形容の言葉が足りないほどに、どの女おどりも素晴らしかった。
 鳴り物に合わせて、両手を挙げ、足並み揃えて歩く姿、時たま着物の裾(すそ)が、パッとめくり上がり、下駄を履いたおみ足がのぞくと、もう鼻血が、いや、その、色っぽいのなんのって。これぞ大和撫子っていう感じで、いやー素晴らしいですなー。

 

 龍虎連の男衆も威勢が良かった。また長老おどりも観客を沸かせた。年季の入ったご年輩の踊りは、また格別だった。老若男女問わず、誰もが親しめるのが阿波おどりの真骨頂である。

 さて、夕刻6時から始まった阿波おどりの見物も夜の9時を回った。まだまだ連が続いて来るが、これから福井まで370Hの帰宅の道のりを考えると、そろそろ潮時と考え、路上の陣地から離れる決心をしたとき、「ささ連」がやってきた。

 「ささ連」は、有名連の一つだ。これを見逃す手はない。

 「一かけ二かけ三かけてー、四(し)かけた踊りは止められぬー」

 「五かえ六かけ七かけてー、八(や)っぱり踊りは止められぬー」

 「ハァ、ヨイとサー」「ハァ、ヨイとサー」

  女踊り子の掛け声にしばし茫然と佇む。その中に一際目立った女踊り子がいた。

 おめ目はパッチリ、容姿端麗、踊りは上手、おまけに色っぽさを兼ね備えた美女の踊り子に、僭越ながら鷲田善一が選んだ本日(2001.8.13)の「阿波おどり女王」を授けます。 

 

 というわけで、名残惜しい気持ちを抑え、私と井狩さんは、200Eの両国本町演舞場をゆっくりと歩きながら、最後の別れを告げた。

「来年も来たいですね!」私は、帰りの道すがら井狩さんにそう言った。

 井狩さんも「是非、また来たいね!」と言った。本場の阿波おどりを堪能できて、本当に幸せだった。

 日本の文化、日本人が忘れかけた心を、今一度甦らせたかったら、是非、徳島「阿波おどり」に行ってみてはどうでしょうか。

 

 一度しかない人生、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん…」である。


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