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久留米普通競輪 第3日目 A級特選 2000年8月21日(月)

 焦らず、また流れが向いて来る時もあるだろうから、と自分に言い聞かせていた。

 準優またしても突破できなかった。これで4場所連続優出を逃したということになる。このところどうも準優がネックとなっていて、波に乗らないでいる。特選は近畿の先行選手と一緒(特に福井の選手)になることが多く、展開も有利に運べることが多いのだが、問題は準優戦である。特選はその先行選手の番手を回れるから互角に戦えるのだが、準優はその先行選手から外され、予選や選抜から勝ち上がってきた同地区の先行選手と一緒になるケースが多い。その上、他の地区の強力な特選の先行選手と顔を合わせるから予選や選抜から勝ち上がってきた同地区の先行選手では、ちょっと力不足ということもあり、マークする私としてみれば、準優がネックとなり事故点も付くというわけである。これは特選で番手を回った点数上位のマーク選手に共通していえることだ。だから特選1着でも準優4着という強力マーク選手をよく見かける。
 考えてみればこれはおかしな番組である。選抜や特選で3番手を回っていた点数の低い追い込み選手が、準優では特選からの同地区の先行選手と一緒に走れ、優勝戦に進出できるケースが意外と多いのである。それなら初日特選で番手を主張せずに、どうぞどうぞと準優で一緒に乗り合わせるよう3番手を回っていた方が得策のような気がするのだ。
 もっとも番組が確実にそういうこちらの思惑通りの番組を組んでくれるのか、という保証は何処にもない訳で、例えば2000年7月2日の富山準優戦のように初日特選で田中俊充と一緒だったのに準優もその田中俊充と一緒だった時もあるし、その逆、準優で当然期待していた先行選手と一緒になれると思っていたのにハズレる時もある。
 兎に角、選手を生かすも殺すも番組次第とは競輪が始まって以来ずっと言われていることである。ま、そんな時は焦らず、また流れが向いて来る時もあるだろうから、と自分に言い聞かせていた。

 前置きが長くなった。最終日特選のメンバーは、山本光昭- 鷲田善一 - 西本章秀- 山本利彦の近畿ラインに、立石拓也 - 国武耕二 - 川本正章の九州ライン、岡田浩太 - 田中英次の岡山コンビはどちらかに切り換えての二分戦になることが予想された。
 山本は初日から出来が良く、地元の立石もいるが、先手を取ってくれればチャンスは十分にあると思っていた。
 レースは、いつものように牽制のスタートだったが山本が前に出た。仕方がない。私も続いた。九州勢が押さえに来て、ジャンで引けば岡山コンビも切り換えてくるだろう。そうすれば山本以下の近畿勢は6番手からの巻き返しになる。こうなったら腹をくくるしかない。(どこからでもいいかかって来い!)兎に角、山本の巻き返しに期待した。
 ジャン前1センター、立石以下の九州勢が上昇してきた。そして、ジャンがなった。岡山コンビも切り換え、予定通り、近畿は6番手からの巻き返し勝負となった。(さあ、山本は何処から巻き返すのか?)と思った瞬間、山本は、ジャンの2センターから思いっきり踏み込んでいった。(オオーッ!)
 先行する立石も山本の早めの巻き返しを警戒して、かなり踏み込んでいたにもかかわらず、山本はさらにその上を行った。
 私はしっかりとハンドルを絞って付いていった。立石もそれに併せてダッシュ。両ラインのモガキ合いだ。
 最終回2コーナー、逃げる立石を山本が捕まえた。すると立石を追走していた9番車の国武が、私のふところにぶつかってきた。山本に切り換える作戦だ。しかし、百戦錬磨の私にそんな抵抗など通用しない。軽くご挨拶して、その押し上げを封じ込んだ。山本はそのまま突っ走ってゴールを目指す。
 最終回2センター、私は後ろを振り返って後ろの状況がどうなっているかを確認した。あと警戒するとすれば、岡田浩太の捲りだったが、後ろはもつれていそうだった。
 私は、山本を交わすタイミングをじっくり計った。あまり早く追い込んでは山本が沈んでしまう。それほど余裕があった。脚を使わずに番手で最終4コーナーを回れることなど滅多にないことだ。私は、山本が2着に残ってくれるよう祈りながら追い込んだ。
 久しぶりに1着を獲ったような気がした。優勝戦を4場所外して、ひょっとして俺はもう優勝戦には乗れないのではないだろうか、と不安な開催だったが、最終日の特選を勝って、いや勝たせてもらったお陰で自信も沸いてきた。
 西本章秀や山本利彦が切り換えずに付いていてくれたお陰だった。山本光昭が早めの巻き返しをしてくれたお陰だった。そして対戦相手がいたお陰で勝った勝利だった。
 私は勝利者のポカリ(1着を取った選手が他の選手にポカリスエットを配るのが通例になっている)を配りながら、1着を獲れたのはみんなのお陰だと感謝した。

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