司法を市民の手に
横濱たより115号
 
2003.2.13発行

裁判員劇「転落」
 あらゆる分野で改革が叫ばれる昨今、司法の世界でも100年に一度といわれる大改革(司法制度改革推進本部の本部長は小泉純一郎首相)が進められている。(詳しくは、日本弁護士連合会 http://www.nichibenren.or.jp、司法制度改革推進本部http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/
 ややもすると一般市民から遠い存在に感じられる司法(裁判所、検察庁、弁護士)だが、市民生活とは密接な関係がある。その中で、裁判員制度が導入され、無作為に選ばれた一般市民が裁判に関わってくる可能性が高い。
 アメリカ映画などでおなじみの陪審員制度と多少似ているが日本型の裁判員制度は、裁判官と同席し量刑(懲役の長さなど)にも関わる予定だという。(アメリカの陪審員制度は、市民のみで評議し、全員一致が原則。量刑には関わらない)
 福井弁護士会(http://www.h2.dion.ne.jp/~fukuiben/)では、日頃から「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命」として活動しているが、裁判員制度を考えるイベントを2003年2月8日()に福井市フェニックスプラザで開催した。
 名古屋の劇団「シアターガッツ」による裁判員劇「転落」を観賞。90分に及ぶ長い芝居だが、迫力ある演技で吸い込まれてしまった。別れ話の末に女性が転落死。故意に転落させた殺人か偶発的な事故だったのか?
 壇上では弁護士、建築家、ブライダルプロデューサー、マスコミ人に加え、現役の裁判官も加わり公開評議。ナイフの取り扱いや目撃証言を冷静に判断したり、被告人や被害者の心情を加味しながら考えていった。別室に移動した裁判員役の市民も評議を行い、会場に詰めかけた高校生を含む一般市民(約400名)も、有罪か無罪かの投票を行った。
 もし殺人として有罪なら計画的なものではないので懲役7年程度が妥当ではないかと現役裁判官からの説明があった。「市民の意見(特に女性)を聞けて勉強になった。より良い司法のために裁判員制度を活用したい」との発言もあった。
 人が人を裁く制度なので難しい問題だが、複雑に絡み合った現代社会に於いて、さけては通れないことで、正しい知識と関心を持っていたいと思う。

2001年には弁護士自からが演じた陪審劇
 同様のイベントは全国各地で行われており、福井でも今回が最初のイベントではない。2001年12月15日には弁護士自らが被告人から証人、裁判官、書記官、そして弁護士までを演じた陪審劇「失恋サンタの殺人事件」を実施している。こちらも非常に好評で私自身「裁判員制度」を初めて知るきっかけになった。
 このときも会場に詰めかけた市民は裁判員として有罪か無罪かを投票した。見た感想としては、これだけの状況証拠で有罪になるなら世の中は冤罪(えんざい=いわれのない罪人)で溢れてしまうと思った。
 死刑制度も未だに残り、いつ罪人扱いされるかわからない社会。せめて被疑者(逮捕された人)に対する「当番弁護士制度(下記参照)」くらいは利用できるように心構えをしておきたいものだ。
自分や家族が逮捕されたとき、当番になっている弁護士が面会に来てくれる制度。
警察官、検察官、勾留質問の際の裁判官に「当番弁護士を呼んで欲しい。」と言うこと。身内の方であれば、0776-23-5255(福井弁護士会)に直接電話する。当番弁護士の1回目の費用は無料。引き続き有料にて弁護を依頼することも可能。


 

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